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明けましておめでとうございます。邦画の比較的新しいのを観てみました。
天然コケッコー レビュー
今作を鑑賞して
【 終わりがある 儚さ 】
【 終わりがある 愛おしさ 】
【 終わりがある 美しさ 】
をしみじみと感じていきました。
終わってしまうから、そして、変容してしまうからこそ、この一瞬一瞬が
愛おしい。そんな
小津安二郎映画にみる美学
を思春期の彼らの物語の中に見つけたのでした。
序盤から、小中学校の全生徒6人による家族のような空気が
非常に心地よく
感じられていきました。
女の子なのに 島根方言の 「わし」 を連発する意外性のある言葉使いと、
音楽のような柔らかいイントネーションの世界に心地よく浸っていったのです。
そんなところに東京から 大沢広海クン が登場して今作の本題が始まるわけ
ですが、主人公の 右田そよちゃん と 大沢広海クン の二人だけの場面に
なると、今までテンポの良かったリズム感が、突然ギクシャクとし、心地よか
った空気感も損なわれていきました。
今作のキャッチコピー
「初めての同級生、初めての恋」
が鑑賞動機であったのに、序盤早々からこのメインテーマにボクは乗り遅
れてしまったようなのです。
しかしその直後に、 そよちゃん が小学1年生の さっちゃん の家に
お見舞いに行くシークエンスにおいて、人間という生き物の愛おしい部分
に触れて思わずホロッとしてしまったのです。
このように小中学生6人の人間関係と、キャッチコピーでの主人公である
二人。この二つの関係性において生じた
自分の温度差 に、
今作の鑑賞方針なるものが見えてきたようでした。
なんてことをつらつらと思っていたら、そよちゃん の父親役である
佐藤浩一氏が本格的に今作に関与し始めていきました。
そうしたら案の定、そよちゃん と 広海クン のシークエンスで感じた
以上の違和感を彼の存在の中に見てしまったのです。
小中校生6人が醸し出す特別な空気感を疎外するものが、たとえ今作の
主題である そよちゃん と 広海クン の関係性であっても、許しがたい
気持ちになっていたところですから、佐藤浩一氏という俳優人の場違いな
自己主張によって、この純粋でゆったりとした映画世界が壊されてしまう
のではないかと、
強い警戒心 を、
持ってしまったのです。
今作のメインテーマを遂行するために 広海クン と そよちゃん が
二人きりの時間を欲っすることにも反発の気持ちを持ってしまったわけ
ですから、そもそも、プロの俳優人の出る幕などあるはずもなかったのです。
そんな雰囲気の中に 広海クン の母親が登場していきましたが、
予測通りに彼女のひねた態度を誇張する職業俳優のテクニックが鼻に
ついていきました。
穏やかな 「行って帰ります」 の世界と、そこにアクセントを付加しよう
とするプロ俳優人の強気な演技が不協和音を奏で、ボクの気持ちを最後まで
逆立てていったのでした。
今作においては
「行って帰ります」
という一般的ではない言葉が、
このコミュニティの住民であることを互いに確認するための暗号のように
飛び交っています。
バレンタインのチョコを軸にした 「行って帰ります」 の優しい世界を
再確認した時、ボクは自分の中に感じたことのない気持ちを発見したのです。
それは、映画という創作物を鑑賞しているにもかかわらず、
ドラマチックなことなど一切望まないので、
このまま皆が無事でいられますように、
と願っている自分であったのです。
映画に対して 「表現の目的やその効果」 を求めてしまう、かつての
“自主映画少年” のボクにとっては思いもつかない反応でした。
いつもは、プロローグで提示された世界観が、いつ・どこで・どのように
「変容」 して、エピローグに終着していくのかを観察していたのに、
今作に限っては序盤で提示された 「行って帰ります」 の世界が全く
「変容」 することなく、そのまま続いてくれることを願っていたのです。
しかしその願いは所詮、叶わぬ夢であることぐらいはボクにも分かっていました。
「行って帰ります」 のように、ドラマチックなこととは無縁の世界である、
あの小津安二郎作品においても、結局は映画を推進していく原動力は、「結婚」
や 「親の死」 という “家族における大事件” となる
“ワビ、サビ 的” 「変容」
であったのですから......。
小津作品のように穏やかに映画が進行していると思われる映画であったとしても、
関係性が何も変わらないままで映画を終息させる、ということは、
至難の業
であったのです。
そのことを頭では承知していても、今作においては、「言って帰ります」
の世界に波乱を持ち込まずそっとしておいて下さいと、映画の神様 に
祈らずいはいられなかったのです。
こんなこと初めてだな........。
制限文字数を超えたので 次に続きます
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